静電気のメカニズム
乾燥した季節には、誰もが一度は静電気の電撃を体験したことがあるのではないでしょうか。チクリと痛む程度のこともあれば、暗闇で青白い光が見えることもありますが、私たちが感じる静電気は2kV程度以上だと言われています。
人体の帯電電位(kV) |
電撃の強さ |
1.0 |
全く感じない |
2.0 |
指の外側に感じるが痛まない |
3.0 |
針で刺されたような痛みを感じる |
5.0 |
手のひらから前腕まで痛む |
6.0 |
指が強く痛み、後腕が強く感じる |
7.0 |
指、手のひらに強い痛みとしびれを感じる |
8.0 |
手のひらから前腕まで、しびれた感じを受ける |
9.0 |
手首が強く痛み、手がしびれた感じを受ける |
10.0 |
手全体に痛みと電流が流れた感じを受ける |
11.0 |
指が強くしびれ、手全体に強い電撃を感じる |
12.0 |
手全体に強打された感じを受ける |
静電気は、日常でもいたるところで発生していますが、1kV以下の微弱なものは、ほとんど気づかずに済んでいます。
ところが、この微弱な静電気が大きな問題となることがあります。製造の現場では、作業員が全く感じないような静電気が不良品の原因となったり、作業のトラブルを引き起こしたりすることが少なくありません。
ただでさえ日常生活よりも、摩擦などの静電気が発生しやすい条件がそろった製造の現場では、それに敏感に影響を受ける製品が多く作られています。
電子部品の静電破壊、印刷や塗装の不良や発火、自動機の動作不良、測定器の誤作動、製品の異物付着…他にも意外に思えるような分野でトラブルが起こることがしばしばです。
除電のしくみ
では、静電気を防いで、安定した製造現場を取り戻すにはどうすればよいのでしょうか?静電気の原因である摩擦や剥離が起こると、物体が電気的にプラスかマイナスの極性に偏ることがあります。これが帯電している状態です。
この、電気的に偏ってしまった物体に、「空気イオン」を用いて反対側の極性の電荷を補ってあげれば、電気的に中和することができます。
この「空気イオン」にはマイナスイオンとプラスイオンがあり、空気中の窒素や酸素、水などの分子が電離することにより発生します。それぞれのイオンは反対側の極性の電子と結びつくことによって、電気的に安定します。
つまり、電気的に偏ってしまった物体に、空気イオンを結びつけて中和すれば除電ができるということになります。
しかし、それには本来安定しているはずの分子を電離させなければなりません。
空気イオンの電離
除電器は、空気の分子を空気イオンにするため2つの方式があります。
光照射式 |
軟X線と呼ばれる、レントゲンよりももっと微弱なX線を使います。広い範囲で、しかも無風状態でも除電が可能ですが、X線を使用するため、管理用の設備や法的な届出が必要です。 |
コロナ式 |
コロナ放電を使います。コロナ放電を起こすためには、電圧印加式と呼ばれる、先端が針のように尖ったものに高い電圧をかける方法と、自己放電式と呼ばれる、除電したい対象物の静電気を利用する方法があります。軟X線のように照射はできませんが、設備や届出が不要であるため、製造現場ではよく使われています。
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