Project Stories02

研究業界のDX化を推進するチャレンジ

「RPA導入支援サービス」

Project Stories02 「RPA導入支援サービス」

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RPAとはRobotic Process Automationの略で、PC上で行う業務をロボット(ソフトウェアロボット)によって自動化する技術のこと。昨今あらゆる業界がDX化を進める中、アズワンでも2018年にAI・RPA推進グループを立ち上げ、RPAを内製しながら、さまざまな業務のDX化を進めています。そうした中、このRPAをサービスとして社外にも展開できないかと考え、立ち上がったのが「RPA外販」プロジェクト。ITベンダーでもない、商社のアズワンが取り組む価値はどこにあるのか。プロジェクトリーダーのT.Yを取材しました。

商品購買部 部長 T.Y

商品購買部 部長

T.Y

研究分野に貢献したいという思いから、2004年にアズワンへ入社。営業部からキャリアをスタートさせ、営業企画、マーケティング、経営企画などさまざまな部門に従事し、2019年から2021年まではオープンイノベーショングループ長を務める。営業時代から、既存の枠にはめ込むことなく、常に新しい価値の提供に挑戦。特注品サービスなど、これまでに複数の事業を立ち上げる。

Project Stories02 「RPA導入支援サービス」

Chapter01/04

コロナ禍のワークスタイルの
変化が、新規事業の糸口。

まず「RPA外販」に着目した背景について、教えてください。

オープンイノベーショングループは都内のシェアオフィスに拠点を構え、積極的に社外の方々と交流を図りながら、新しいビジネスの種を探しています。そうした中、ここ数年は販売店様や仕入先様から「業務効率化」についての課題感をよく耳にするようになりました。特に新型コロナウイルス感染症の拡大以降は、テレワークが急速に進んだこともあって、その声は大きくなったように思います。
一方で、アズワンは2018年頃からAI・RPA推進グループを立ち上げ、さまざまな仕組みを内製化。すでに300以上の業務がRPAによって自動化されています。もしかすると、このノウハウを展開することで、販売店様や仕入先様のお役に立てるのではないか。そう考えたことが、RPA外販プロジェクトを立ち上げた経緯です。

RPAを使うと、具体的にどういう風に効率化できるんですか?

RPAは簡単に言えば、コピペや入力、検索など、人がPC上で行っている操作を、ロボットに置き換えて自動化させるという技術です。アズワンでいうと、例えばAという販売店様から100種類の商品の注文が入ったとします。すると、担当者はアズワンの基幹システムに受注内容を登録。アズワンの倉庫内に在庫があれば当日配送の指示を庫内システムに送り、在庫がない場合は、メーカー様に発注メールを送ります。それを100種類分行い、それぞれの商品の納品日を、販売店様へお知らせします。人がやると大変そうですよね。でも、この業務をRPAに置き換えると、入力から納品回答メールまで基本的にはすべて自動化できます。
また、RPAはツールを導入して、そのやり方さえ覚えてしまえば、プログラミングの知識がなくても、自分たちでどんどん業務を自動化していけるという点も大きなメリットです。

Chapter02/04

プロジェクトの立ち上げは、チャットでの気軽な相談から。

RPA外販に着目して、そこからどうやってプロジェクトは
立ち上がったんですか?

RPA外販に乗り出そうと決めたのが、2020年の秋ごろだったと思います。餅は餅屋ということで、まずはAI・RPA推進グループのFさんに連絡を入れました。それまでFさんとは、社内のパソコンの調子が悪くなった時にお世話になっていたくらいで、あまり面識はなかったのですが、Fさんの顔がパッと頭に浮かんだんですよね(笑)。それで社内チャットで「うちのRPAをサービスとして外販してみようと思うんだけど、一緒にやらない?」って声をかけたところ、Fさんも新しいことをやってみたいと考えていたらしく「面白そうですね、やりましょう」と。すぐに二人で打合せをして詳細を詰めていき、その後Yくんも加わってくれて、プロジェクトが動き出しました。

チャットベースでプロジェクトが
立ち上がるんですね?

そうですね。私はアズワンの規模感がけっこう好きで、というのも、大きすぎない組織だから、話したことない人でも顔がわかるんですよね。だから誰にでも気軽に相談しやすい。また、決断から行動に移すまでが早いのも、この規模だから為せる業なのかなと思います。

Chapter03/04

まだまだ紙ベースの研究業界に、どうやってRPAを普及させるか。

プロジェクトはどのように
進めていったんですか。

プロジェクトを立ち上げたものの、実際にアズワンのRPAのノウハウがサービスレベルにあるのか、確かめる必要があります。そこで私が営業時代から懇意にさせてもらっている販売店様にお声がけし、まずは3社にテストケースとして導入することにしました。
販売店様へのご案内や課題のヒアリングなどは私が担当し、実際のRPAの作成はFさんやYくんが担当。また、ソフトウェアを提供するという、これまでしたことのない形態のサービスなので、契約書なども一から作成。そこは、法務部門にも協力してもらいました。2020年秋から動き出して、2021年の5月に1社目、残りの2社についても7月に納品と、急ピッチで進めていきました。

実際にRPA外販を行ってみて、
難しかった点はありますか。

実は割とすんなりいったんですよね。技術的な面では、各社が使っている既存のシステムに導入するということもあり、こちらの想定通りにプログラムが動かないということがあったものの、Fさんたちがうまく解決に導いてくれて、大きな問題にはなりませんでした。
むしろ、問題はこれから。というのも、研究業界はFAXによる注文なども多く、まだまだ紙ベースの業務が主流。また、10数名規模のメーカー様では、業務が属人的してルール化されていないことが多い。PC上の定型業務でなければ、RPAに置き換えることは難しいので、まずは導入の手前の土台づくりからですね。例えば、OCRを使って紙の書類をデジタル化したり、どうすれば業務をRPAに置き換えられるのか、一緒に考えたり総合的な支援が必要だと感じています。

Chapter04/04

業界全体をつなぐ、
夢のようなシステムをつくりたい。

素朴な疑問ですが、
アズワンがやる意味はあるのでしょうか?

たしかに世の中にはRPAツールをつくっているIT企業がたくさんあるので、わざわざアズワンがつくらなくてもと思うかもしれません。でも、販売店様や仕入先様の業務はアズワンと共通しているところが多く、それゆえに課題感もよく似ているんですよね。DX化で大切なことは、業務上の課題を的確にとらえることだと思うので、そういう点でアズワンは、どこよりも寄り添ったRPA導入支援ができると思います。

なるほど。では最後に今後の展望を
教えてください。

取っ掛かりはRPAでしたが、業界のDX化という観点でいくと、もっとアズワンにできることがあると感じています。例えば、現状だと各販売店様が販売管理システムなどを独自に開発して、みんながばらばらのシステムを使っているんです。そして、販売店様からオーダーを受ける仕入先様もまた、ばらばらのシステムを使っています。その結果何が起こるかというと、システム間で連携が取れず、注文情報などのデータの受け渡しを毎回手入力で行わないといけなくなるんです。これってとても非効率ですよね。でももし、みんなが共通のシステムを使ったら、注文から在庫確認、出荷まで、全部自動化できる。そうなると、販売店様も仕入先様も便利になりますし、エンドユーザーである研究者や医療従事者の方にとっても、はやく・かんたんに買い物ができるようになって、みんながハッピーになれるんです。まだ、具体的にどうすればいいのか分かりませんが、そういうシステムをアズワンでつくれたら面白いと考えています。

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